PAPAの独り言

PAPA(3児の父)が、いろいろ書きたいこと書きます。

10年後、君に仕事はあるのか?(藤原和博)を読んで

 『10年後、君に仕事はあるのか?(藤原和博)』を読みました。前回の記事でも、藤原和博さんの本に関することを書きましたが、今回も備忘録としていろいろ書きます。

 

【ホワイトカラー機械化代替率ランキング】

AI(人工知能)やAIを搭載したロボットに替わられる可能性の多い仕事のランキングは下記になります。元データは週刊ダイヤモンドの編集部によるものです。

  1. 経理事務員 99.99%
  2. 貿易事務員 99.99%
  3. 銀行窓口係 99.98%
  4. 一般事務員 99.97%
  5. 医療事務員 99.95%
  6. 信販売受付事務員 99.94%
  7. 保健事務員 99.91%
  8. 通関士 99.88%
  9. 物品購買事務員 99.86%
  10. アクチュアリー 99.83%
  11. 保管・管理軽係員 99.82%
  12. 生産現場事務員 99.78%
  13. 分析化学技術者 99.78%
  14. プラント設計技術者 99.75%
  15. 受付係 99.64%
  16. 証券外務員 99.64%
  17. 人事係事務員 99.58%
  18. 診療情報管理士 99.50%
  19. 会計監査係員 99.50%
  20. 学校事務員 99.48%
  21. 行政事務員(県市町村) 99.41%
  22. 行政事務員(国) 99.26%
  23. テレフォンアポインター 98.79%
  24. 測量士 98.55%
  25. 細菌学研究者 98.28%
  26. 税務職員 97.99%
  27. 弁理士 97.99%
  28. 生産・品質管理技術者 96.29%
  29. 原価計算係 96.14%
  30. 税理士 91.43%
  31. 翻訳者 90.29%
  32. 化学者 88.00%
  33. 広報事務員 87.34%
  34. 秘書 87.05%
  35. バイオテクノロジー研究者 86.79%
  36. 証券アナリスト 86.66%
  37. 物理学者 85.80%
  38. 株式トレーダー/為替ディーラー 85.44%
  39. 鉄道運転計画・運行管理員 83.04%
  40. 工学技術研究者 78.89%
  41. 商品管理係 77.50%
  42. 刑務官 72.99%
  43. 公認会計士 70.79%
  44. 商品販売外交員 69.61%
  45. 不動産鑑定士 66.39%

これを見ると、大量のデータや書類を迅速に処理する必要がある、事務員や事務系の仕事が最もAI×ロボットに替わっていく可能性が高い職種になりそうです。他にも数字に関する仕事(経理や税理士、公認会計士など)もAIに替わっていくようです。これは、コンピュータが大量のデータを扱うことや、素早い計算を得意としているからでしょう。

ひとつ非常に疑問に感じたのは、「工学技術研究者」が78%以上もAIに替わっていく、という予測です。ロボットとは正に工学技術研究者の研究するジャンルです。ロボットが普及すれば普及するほど、工学技術研究者の役割は大きくなるのでは?と僕は思うのですが。

もしかすると、このデータは「100人中何割がAIに替わるか?」という視点ではなく、「100の仕事のうち何割がAIに替わるか?」という視点から考えられたデータかもしれません。もし、そうだとすれば、研究者が日々行っている仕事の中に、自動化できるルーティンワークがあったり、大量のデータの計算やシュミレーションなど、AIに任せた方が良いことが、意外に多いということなのかもしれないですね。

【AI×ロボット時代に強い職種】

藤原さんはこれからの時代に強い仕事は、「観光」「プログラミング」の二つだと言います。プログラミングが重要なのは、おそらくAIが普及する中で、AIを学び使いこなせる人材が必要になるからだと思われます。

一方で、観光の仕事が増えるのは、アジアの訪日外国人がこれからどんどん増えていく、という試算があるからです。

【3つの生きる力】

生きる力は大きく3つに分けられます

  1. 情報処理能力(読み書き計算、記憶力など、一つの答えに素早くたどり着く力)
  2. 情報編集力(答えが無い、答えが一つではない問題への思考力・解決能力)
  3. 基礎的人間力(体力・忍耐力・集中力・直感力など、要するに上記二つ意外の能力)

個人的には、上記の力とは別の力として「問題設定力(問題発見力)」があると良いかな、と思いました。「これはそもそも解決するべき問題なのか?」「今一番解決すべき問題は何か?」ということを考える力です。

【学力は高い方がいい】

これからは、全てがインターネットにつながり、スマホや様々な機器を用いて、情報を迅速に調べることができるので、「記憶や知識は必要ない」という意見がありますが、藤原さんはこれを否定しています。なぜなら、最低限の知識がなければ、「何をどう調べればいいのか?」すら自分ではわからないからです。細かい知識や膨大な情報は覚える必要は無いかもしれませんが、基礎となる語彙力や知識があるにこしたことはないです。

最終的にはAIやコンピュータの力を借りるにしても、その借り方をできるだけ素早く上手に行うためにも、情報処理能力(基礎的学力)を鍛えた方が良いのです。ですので、偏差値も低いよりは高いほうが良いですし、知識も少ないよりは多い方が良い、ということです。

【2020年から開始する教育大改革とは】

2020年から大学入試のスタイルが変わります。まず、高校生が在学中に二つの試験を受けます。1つ目は、高校1・2年分野の基礎学力テストで、これは教科書レベルの易しい問題が出るだけです。2つ目は、大学入学希望者に対するテストで、今のセンター試験に代わるものです。情報処理能力一辺倒だった試験内容から、情報処理能力(思考力や判断力)を問うような内容の問題にシフトするのです。

ただし、改革には時間がかかるかもしれませんし、実際にやってみると様々な問題も出るかもしれません。個人的には、判断力を求める力なんて、数字で計りにくそうなものを、大学入試のテストにするのはどうなんだろう?と疑問に思います。

【改革後の入試で出される問題とは】

今後、高校生の判断力や思考力を、大学側の人がどうやって判断していくのでしょうか。それに関して藤原さんは、下記のような問題が出る可能性を言っています。

  • 小論文や、高校から送られた調査票を見ながらの面接
  • テーマを与えられてのグループ・ディスカッション
  • 自己PRや創った作品・体験したことのプレゼンテーション

書く力、話す力、が重要になりそうですね。ただし、これは現在の学校教育でも、先生が意識すればすぐにでも実践できそうなので、わざわざ入試改革するようなことなのかなー、とも思います。

【とにかく数をこなすこと】

何かで成功する、何か人より秀でるためには、数をこなすことが重要になります。勉強であれば、勉強時間を増やす。ブログを書くのであれば、毎日なるべく書き続ける。漢字を覚えたいのであれば、少しでも多くの漢字の読み書き練習をする。読書であれば、週1冊読んでいたのを、週2冊に増やす、などなど。

当たり前のことかもしれませんが、この時間をかけて数をこなす、ということをやらなければ、どんな分野においても成功するのは難しいでしょう。 

【日本人の時給は100倍の差がある】

日本で働く人の時給を多い順に並べると、下記のようになります。

  • 世界レベルのコンサルタント 時給8万円
  • 医者や弁護士などの専門家 時給1万〜3万円
  • サラリーマンや公務員 時給3000円〜5000円
  • IT系非常勤 時給2000円
  • アルバイト 時給800円

改めて確認すると、アルバイトというのは本当に時給が安いですね。専門家に関して言うと、大工さんも家一軒建てれるような棟梁の技術を持つ人は時給1万円以上で、庭師でも大きな庭の設計までできる人は1万円以上になるそうです。弁護士は現在は増えすぎて需要が少ないですが、人気弁護士に限れば、1時間3万円の請求ができます。

もちろん、上には上がいて、芸能界のトップの人や、スポーツ選手のスターなどは、世界レベルのコンサルタントよりも時給が高い人もいます。

ちなみに、日本人の年間労働時間は、約1750時間くらいと言われています。

【時給を上げるには】

では、コンサルタントやセレブなどに共通するのは一体何でしょうか? どうすれば、より時給を高くすることができるのでしょうか? それは「希少性(レアさ)」があるかどうか、だと藤原さんは言います。もう少し詳しく言うと、「需要が多く供給の少ない仕事をすれば良い」ということです。もしくは、「需要は少ないが供給は更に少ない(または供給が無い)仕事をすれば良い」のです。要するに、「人と違うことをする」ということです。

ただし、勘違いしてはダメなのが、「需要がゼロ(全く無し)のこと」をやっても無意味です。人と違うことをやっても、誰も求めていなければ意味がありません。

【希少性の上げ方】

前回のブログで紹介した藤原さんの著作にも書いてありましたが、希少性を上げるには、まず一つの分野に関して1万時間費やし「100人に1人」のレベルになります。1万時間費やすとプロレベルになれるそうです。そして、一つの分野でプロレベルになったら、今度は別の分野で1万時間を費やし「100人に1人」のレベルになります。そして、また別の分野で同じことを繰り返します。最終的に3種類の分野で「100人に1人」のレベルになれれば、「100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1」となり、100万人に1人の「超レアな人」になれるんです。

【書籍のベストセラーランキングから社会を分析する】

2016年上半期の(小説を除いた)書籍ベストセラーは下記のようになっていました。

1位 『天才(石原慎太郎)』

2位 『嫌われる勇気(岸見一郎)』

3位 『置かれた場所で咲きなさい(渡辺和子)』

4位 『本音で生きる(堀江貴文)』

5位 『結局、「すぐやる人」がすべてを手に入れる(藤由達臧)』

 

このランキングに対する藤原さんの分析・感想が面白いです。「みんな、無い物ねだりなん」です。つまり、「天才じゃない」「嫌われる勇気を持てない」「置かれた場所で咲けない」「本音で生きれない」「すぐやれない」からこそ、そうでない正しい理想論のような思想や言動に憧れるのです。本当に何でもできて完璧な人がいたら、おそらく自己啓発系の本には見向きもしないことでしょう。

【感想とまとめ】

AI×ロボットが普及していく未来において、「AI×ロボットと人間の違い」について理解することが必須だな、と思いました。なぜなら、「人間だからこそできること」「人間の方が得意なこと」を知ることで、AI×ロボットとの良い共存ができるからです。AIやロボットを深く学ぶことは、すなわち人間を深く学ぶことです。

個人的には世の中がデジタル化すればするほど、逆にアナログ的なものの需要も増えていくのでは、と思います。特に超高齢化社会になっていく日本において、高齢者の方がデジタルではなく、アナログなものを求める傾向はしばらく続くのではないでしょうか。もちろん、幼少期からデジタルなものに囲まれて育っている現代の若者達は、高齢になったとしても、アナログ的なものを求めないかもしれませんが。

 また、子どもたちには事務や経理など、明らかにAIが得意なことは目指さないほうが良いことを、早いうちに理解してもらった方が良さそうです。特に女性は事務を希望する人が多いので、なおさらだと思います。そして2020年の教育大改革に向けて、意識的に「書く力」「話す力」を身に付けるように心がけた方が良さそうです。

 

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