PAPAの独り言

PAPA(3児の父)が、いろいろ書きたいこと書きます。

自分はバカかもしれないと思ったときに読む本(竹内薫)を読んで

自分はバカかもしれないと思ったときに読む本 (河出文庫)

 

サイエンスライター竹内薫さんの『自分はバカかもしれないと思ったときに読む本 (河出文庫)』を読んだので、例の如く備忘録を兼ねて、心に残ったことなどを書き留めておきます。

国語力は本の精読と音読で身につく

竹内さんは昔、中学2年生の子に勉強を教えていたのですが、その子は漢字が全然読めなかったんです。漢字が読めないから、国語のテストだけでなく、算数の文章題なども全て理解できなかった。

そこで、竹内さんは文章(漢字)の意味が理解できるように、一冊本を選ばせて、半年間ずっと音読をさせました。分からない漢字が出てきたら、その都度読み方・意味・書き方を教える。それを続けた結果、何と国語はもちろんのこと、数学の得点もグーンとアップしたそうです。つまり、国語力は他の科目の基礎(土台)になっているということです。

ここで僕が重要だと思うのは、学習の初期では「多読」よりも「精読」が大切だということです。分からないことを分からないままに素通りしていては、「分からないこと」が積み重なるだけです。ゆっくりでもいいので、ひとつひとつ「精読」し、「分からないこと」を「分かること」に変えてゆく。そうすれば、どんなに遅くても、長い時間をかければ最終的に「分かること」がたくさん増えていきます

それから、もうひとつ。国語の問題を解く力を上げたいのであれば、やはり読む本は非日常的なエンターテインメント(SFやファンタジー)などではなく、日常的な小説や評論にするべきです。本のジャンルや内容によって、使われる語彙や表現は変わります。当然のことながら、国語の問題によく出てくるようなジャンルの本を読んだ方がイイに決まっています。かといって、自分が全く読みたくない本を無理やり読ませるのも難しいので、「一定の範囲内で、好きな本を選ぶ」という絶妙なバランス感覚が大切だと思います。

自己イメージは他者の評価(と自分が思っている)で決まる

何かを達成するには、それをやり続けなくてはなりません。そのためには、「続けていれば、自分には出来る」という自信が必要です。そして、その「自分は出来る」という自信は、自分だけで何とかできるものではなく、他者のイメージで決まる、と竹内さんは言っています。

僕も同感です。どんなに自信をつけようとして努力しても、周りの人間から蔑まれたり悪口を言われる環境にいれば、自信はなくなり自己肯定感が低い人間になってしまいます。ですから、人は誰でも「周りから良い評価をもらえる環境」にいる方が自信がつくし、その結果、「諦めずに努力し続ける」ことができやすくなるのです。

ですので、子供を見守る親や、支える教師の立場にある方たちは、「子供の今の点数や状態」だけにとらわれず、「子供の未来の可能性や伸び代」を見る必要があると思います。結果を求めるのではなく、今のプロセスを励まし支えていく。簡単に言えば、「長い目で見る」ということです。

ですが、これは親自身に大きな焦りや不安があったりすると、なかなか出来ることではありません。ですから、子育てや教育に携わるとき、教える人間の方が「自分を見つめる」作業が大切になると思います。子供をコントロールするのではなく、子供をコントロールしようとし過ぎてしまう自分自身をコントロールするのです。

文章は図にすると分かりやすくなる

算数の文章題などで問題が解けない子供に、図を描いて説明するとよく理解できることがあるそうです。これも凄く同感しました。僕自身、小学生の息子に算数の文章題を教える時、クチをすっぱくして「分からなかったら必ず絵(図)を描きなさい」と言っています。この「分からないことを図に描く」というのが非常に有効なんです。

これは子供だけでなく、大人でもやはり頭の中を整理する時に、絵や図に描いて考えると凄くわかりやすくなりますよね。有名なところでは、「マインドマップ」という思考ツールがあります。

何事も大器晩成だと信じて待ってみる

竹内さんは「努力と結果は比例関係ではない」とおっしゃっています。これはどういうことかというと、「1頑張ったからといって、1の結果は出ないことがある」ということです。同じように「10がんばっても、2しか結果が出ないことだってある」ということです。ただし、「諦めずに10000頑張ったら、10000以上の結果が出ることがよくある」というような意味です。

つまり、「諦めなければ、いつか夢は叶う」けど「すぐに結果が出るとは限らない」ということです。例えば、専門技術をプロレベルまでに極めるには1万時間が必要と言われます。ですが、その半分の5000時間頑張ったからといって、「プロの半分のレベル」に達しているとは限らないのです。だから、大切なのは、「本当に花が開くまで」の「熟成期間」を、諦めずにくさらずに信じて待てるかどうかです。信じ続ければ、諦めなければ夢は叶うのですから。